トップスレターン

68ターン

詩乃守 優(しのかみ ゆう)



【Link:姫郡 久実 63ターン】

>「あの、今夜はどうぞ、私達の施設にお泊りください。
  お食事とお風呂、それに来客用の寝室もご用意させていただきますので」


結局のところ、何もしていないのにそんな恩を受けるわけにはいかない。
そう言われた私は辞退しようとしたが、自分のお腹は素直に、くー、返事を返した。
そうしてそのままなし崩しにその日は姫郡さんの施設にお世話になることになった。
久しぶりの温かい食事、温かい寝床、温かい雰囲気……。
まるでその施設はぬるま湯に浸る様な、心地の良い空間だった。
だからこそ、理解した。私は此処にいてはならないと。
この場所は温かい空気に溢れている。自分の様な人間には……不釣り合いだ。
翌日の昼間、誰にも見つからないように隙を見て、私は施設を出た。
客室には置手紙を置いて。

『昨日はありがとうございました。久しぶりの温かい食事、寝床に感謝します。
 まことに勝手で申し訳ありませんが、私にはこの施設の空気は不釣り合いなので出ていくことにします。
 一宿一飯の恩の代わりになるか分かりませんが、医療器具の入ったトランクを置いて行きます。
 新品同様なので質屋などで売ればそれなりの金額になるかと思います、これ位しか恩返しが出来なくて申し訳ありません。
それでは施設の皆様に幸せが訪れることを心より願っています。 
PS 琴里ちゃん、貴女の『許しません』の一言、とても嬉しかったです。心からありがとう 詩乃守 優』

トランクの無くなった右腕は軽い。父親から餞別にと貰ったものだが、医療知識が無いので使う機会がない。
施設の金銭面で役に立ってくれるといいのだけれど……。
そんな事を思いながら身支度を整え外に出る。
天気は快晴、お腹も膨れてる。また何日かは子ども達に治療を施すことが出来そうだ。
施設を出た私は、うーん、背伸びをすると当てもない治療の旅へと歩き出した。


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