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潮崎 双目(うしおざき ざらめ)
――突然の、ことでした。
河原で小さな女の子が絵本を読んでいたんです。
いつもそこに一人で座っていました。
その子のことは、以前から学校帰りによく見かけていて、
だから私、つい気になってしまって、声を掛けてみたんです。
その子は、お母さんがお仕事から帰ってくるのを待っていると言いました。
それで、私もお母さんを一緒に待ってあげることにしました。
すると、とても嬉しそう笑って、私の手をぎゅっと握りました。
今でもあの笑顔は忘れられません。
お姉ちゃん、ご本読んで。
女の子は、そう言って一冊の絵本を差し出しました。
絵本のタイトルは、『ラプンツェル』。
とても長く美しい髪を持つ女の子の話、私は読んだことがありませんでした。
私は、その本を手に取りました。すると……
"少女はその先のことになると、固く口を閉ざしてしまいました"
"ともあれ、こうして彼女もまた、不思議な力を使えるようになったのです"
"『潮崎 双目』、お砂糖のような名前を持つ少女のお話は、こうして始まります"
"これからの彼女の人生は、甘く容易いものでしょうか?"
"これからの彼女の人生は、辛く険しいものでしょうか?"
"それが分かるのは、もう少し先のお話"
カタン、と玄関から聴こえた硬質な音。
その音は、いつも決まった時間にやってくる。
双目は喜びを隠そうともせず、玄関扉を開けて外に出る。
郵便受けを開くと、中には薄い手紙が一通。
先ほどの物音は、この手紙が郵便受けに投函された音だった。
その手紙の差出人は、双目の母だ。
双目は、定期的に"外"で暮らす母と手紙のやり取りをしている。
だから、今日も郵便受けの音を待ち遠しく思って耳を澄ませていたのだ。
「……。……わぁっ、私に妹が出来るんだぁ〜…!」
花模様のあしらわれた便箋には、母が女の子を身ごもった旨が書かれていた。
元々は双目と母の二人暮らし、つまり『シングルマザー』だった。
三年前に双目がこの街に送られて、互いは一人きりになってしまった。
それから暫くして、年上の男性と再婚したことを、双目は手紙で伝えられた。
「どんな子かなぁ…。私に似てるかな?ふふ、それはまだ気が早いかなぁ」
双目は新しく購入していたレターセットを取り出すと、急いで母に返事を書くことにした。
封筒や便箋には、『凱旋門』や『自由の女神像』など、様々な世界遺産が躍っていた。
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