トップスレターン

53ターン

姫郡 久実(ひめごおり くみ)


【Link:唐空呑 51ターン】-【Link:橘川 鐘 52ターン】

「テメェ!!!おちょくってんのか」

多分…違う。
中の『彼女』は、ご両親を亡くしたことをそういう風にしか表現できない
ほど、心の傷として抱えているのだろう。
施設にもそういう子は何人か居るし、院長先生もそのことについては
心を痛めている様子だったから…。

「……唐空君、今は混乱しているようだから出直そうか」

「…確かに今ならまだ仕掛けられる前に退くことは出来るか…」

橘川店長の話では、この長屋が近く取り壊し予定なのは間違いない情報
らしい。ただ、それを言っても今の彼女が信じてくれるとは思えない。

久実も、その段に至ってはこれ以上粘るより、一時撤退の方に票を投じる
気になっていた。何故なら先刻から…。
そう、濃密な違和感、イヤな空気──ハッキリ言ってしまえば、殺気。
表情から察するに、唐空さんも感づいているようだ。

ドバンッ!!
背後で何かが激しく壊れる音。
反射的に、右の二の腕から瓜の蔓がシュルシュルと伸び、形を変え、
緑色に輝く木刀になる。その間、1秒。
振り向いた久実の目に映ったのは、ゾンビ…ではなく
押し寄せてくる河童の群れ。
「……っ!!」

咄嗟に琴里と詩乃守先生を背に庇い、得物を構える。
「先生、琴里、逃げ…」
元来た通路を指そうとして、ギョッとする。
入り口からも、別の連中がピョンピョンと、あるいはペタペタと、
通路を塞ぐように迫ってくるではないか!
それだけではない。二階に通じる階段からも…ぎし、ギシ、と
複数の足音が一階目指して降りてくる。
この様子では、他の空き部屋の窓からの脱出も難しいだろう…。

最初にあの河童を目撃したとき…周辺には少女らしい影は居なかった。
ということは…視界外の離れた場所からでも、複数体「召還」可能
なのだろう。
(囲まれてる…)
嫌な汗が、こめかみから頬を伝って流れる。


「僕らがこっちを食い止めている間に、説得なり本を奪うなりしてくれ」

橘川店長は、河童のスクラムに押されて見えなくなってしまった。
もうこうなったら、それしか方法は無いだろう。

「お前のせいでこんな目になっているんだ。せめて体を張って責任取れよぉ!」

「ちょ、唐空さん!?何を…」
止める間も無かった。
経緯が経緯とは言え…やり過ぎだ。
どうする?橘川さんと大河原さんを助けるには多勢に無勢、ここはやはり…。

【Link:ティンカー・ベル 52ターン】

「妖精戦士ティンカー・ベル参上!」

「ベルさん!!」
良かった、増援だ…!
原典とキャラがあまりに違いすぎるのはいつものことで…今はそんなことに
構っちゃいられない。
「男性が二人、捕まっています。足止めと、出来れば救助を!」
それだけ呼びかけると、久実は先生と琴里を誘導しつつ、
『彼女』…河童を操っている主の部屋に踏み込んだ。


前のターン 現在のプレイヤーの前のターン ターンテーブルに戻る 現在のプレイヤーの次のターン 次のターン