トップスレターン

25ターン

橘川 鐘(きっかわ しょう)


【Link:佐川 琴里 21ターン】

少女の名は琴里。ネバーランドの常連客である。
彼女はおどけた動作で、疑惑をきっぱりと否定した。

「失礼しちゃう!なにさ、その目は。正真正銘、あたしが稼いだ一万円よ。鼠さんからのご褒美だ。」

琴里ちゃんは根は素直ないい子だ、嘘をついているとは思えない。 
根拠? そんなものは目を見れば分かる!(どんっ)
しかし鼠さんとは何のことだ? 某アメリカネズミか? 夢の街だけに。

「もう、そんなに誰かを盗人に仕立て上げたいなら適材がいるから。
...さっき裏路地で得体の知れない化け物が、人のポケットから器用にお札だけ抜いて逃げてったよ。」

「得体の知れない化け物だって!?」

反応する! ベルセンサーがビンビン反応するぞお!
説明しよう、ベルセンサーとは妖精美少女戦士ティンカー・ベルが持つ邪悪を察知するセンサーの事である。
ただしそんな異能は本には無く、例によって私の脳内設定だ。

「未知あるところに我あり!おじちゃん、暇なら一緒に犯人探そうぜ!?」

「うむ、人様が汗水流して稼いだお金を盗むとは許さん!
一緒に犯人をとっつかまえようではないか!」

私は店の入り口に『ちょっと出かけます』の張り紙を貼り、服の内ポケットにある物が入っているのを密かに確認する。
永遠の少年の物語『ピーターパン』――私を妖精魔法少女たらしめるもの、ポケットサイズの小さな本だ。

「よし、行こうか」

幼女とおっさんの探偵コンビが意気揚々と店を出る。

【Link:詩乃守 優 24ターン】

「むぅ……やはりそう都合よく犯人と遭遇とはならないか」

犯人探しは早速行き詰っていた。当然と言えば当然である。
美少女戦士たるものドンパチやっているところに現れて颯爽と解決するのが基本なので、探偵業務は慣れてない。
現在地はスイーツショップの前に差し掛かった辺り。

「琴里ちゃん、おやつでも食べながら作戦を考えようか……む?」

若い女性が浮浪者のようにふらふらした足取りで歩いてくるではないか。私は驚いて声をかける。

「どうしたんだい? お嬢さん」

彼女が答えるまでもなく、くぅ、と音が聞こえる。ひどくお腹がすいているらしい。
おやつに誘ってみる事にした。

「今ちょうどおやつを食べようと思っていたところなんだ。良ければ一緒にどうかな?」

そう言って彼女をスイーツショップの中へ促す。

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