トップスレターン

27ターン

佐川 琴里 (さがわ ことり)


【Link:大河原万次郎 26ターン】

 意気揚揚と洋菓子屋に繰り出した琴里だったが、入った途端、店内の異変に気づき後続の大人達を手で制す。
ある一角がギリス王朝風のオーラで区切られ、周囲から浮き上がっているのだ。
その中心に鎮座する男が、来店のドアベルを聞き優雅に振り返った。

>「おぉ、君達は私を歓迎する為に現れた庶民ではないかね?」

「そ、その独特なイントネーション、パリッパリのホワイトスーツ、何より舞台化粧かと見間違うほど濃ゆい眉毛…あんたは!」
一旦言葉を溜めて、琴里は周囲の注意を引く。

「資本主義の悪しき権化、大河原万次郎!」

見ないふりを決め込んでいた良識ある客も、その大声に体を強張らせた。
万次郎の周りに集中線が結ばれる。

「噂には聞いてたけど、なんたるブルジョワジー…こんなところに何しに来たのさ。」

>「私はこれからス・イーツなる庶民の食事を楽しむところだ。」

「大河原財閥の富をもってすれば専属パティシェを雇って食べ放題だろうに…
さてはあたしら庶民を馬鹿にしようって魂胆だな?
ねえ二人とも。こんな店出ちゃおう、きっとあいつ札束見せびらかしながらケーキ食うよ?!」

しかし、万次郎は金持ちならではの余裕で、琴里の罵倒を無視し、寛大な提案を口に乗せる。


>「君達の分も、金銭を払おうではないか」

「貴方のことはこれ以降、若殿と呼ばせて頂く。」

その転身ぶりはいっそすがすがしかった。
忠義堅い老中の如き迅速な反応で、琴里はその場に片膝つく。
「それがし、佐川琴里と申す者。人呼んでツバメ返しのお琴でござる。
あ、小姓殿、水とおしぼり三人分追加で。」


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