トップスレターン

47ターン

橘川 鐘(きっかわ しょう)



>「なんというカビ臭さだ……これが庶民の流行の汚・へーアなのだな。」

>「若殿も流行の波に乗ってみようぜ。あたしなんか、自分の部屋じゃなくても散らかしちゃう、最先端を走る女だよ。
なんなら若殿の屋敷を劇的ビフォーアフターしたげるし。」


「おおっ、流行の最先端を行く汚・ギャルがこんなところに!
しかし玩具箱をひっくり返したような部屋は嫌いじゃない」

果たして、私の呼びかけに返ってきたのは、少女の声だった。
それに対して、呑君がいきなり乱暴な言葉で返す。

>「……誰ですか、こんなところに。宅急便の人ですか?」

>「ボケたこといってんじゃねぇぞゴラ!!!いつまでここに居座ってんだよボケが!!!」

>「立ち退かせ屋とその舎弟ってことでちょっと芝居うってもらっていいですかね
 あぁ別に無理して乱暴な言葉を使わなくてもいいですよ。
 人のよさそうな感じのほうが案外コロっと騙されますし」


なるほど、中でドンパチするのは危険という判断だな。
そう思い、芝居に乗る事にした。

「やあやあ、うちの若い者が熱くなってすまないね。
しかし立ち退いてもらわないと我々も困るんだよ。
ここが取り壊しが決まっているのは君も知っているだろう?」


そこまで言いながら、考える。こんな幽霊屋敷に一人で住んでいるのだろうか。多分両親はいないだろう。
出てから行く宛てはあるのだろうか。おそらく、無い。
もしかしたら、お金が無くて困り果てて仕方なくスリをしているのかもしれない。

「ご両親はいないのかい? そうか……出たところで行く場所は無いのか。
知り合いに施設を経営している人がいる。紹介してあげるからとりあえずそこに入りなさい。
いつまでもこんな所で粘っているわけにはいかないだろう」


途中まで芝居だったはずが、途中からいつの間にか本心になっていた。


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