トップスレターン

65ターン

橘川 鐘(きっかわ しょう)



眠っている少女を施設まで送り届けて、その日はいったん帰った。
翌日様子を見に行ってみると、少女はまだ眠っている。
久実ちゃんのところに、犬のおまわりさんからメールの返信がきたようだ。
迷っている様子の久美ちゃんに、お節介にアドバイスをする。

「証拠不十分で本人の証言次第、という事か。
被疑者は自らに不利益な証言はしなくていい、とは法律の定めるところだ。
能力者であってもそれは変わらない。……あとは彼女自身に任せるのがいいんじゃないかな」

犯罪者とはいっても、快楽のために命を奪う凶悪殺人犯ではない。
彼女にとっては生きるためにああするしかなかったのだろう。
全てを正直に話して罪を償うというのならそれに越したことは無い。
黙秘を通して罪を逃れたとしても、今度は能力を人のために役立ててくれるならそれでいい。

ところで、能力犯罪者の数に対して、それに対抗できる能力持ちの警官が圧倒的に足りていないのが現状だ。
それを補う苦肉の策として、危険度の高い能力犯罪者を捕まえるために
危険度知名度の低い服役中の能力者が極秘で使われている、と都市伝説で聞いた事がある。

何にしろ今度は、仲間として共に戦う事があるかもしれない――なんとなくそんな気がした。

とにかく――こうしてまた一つ、夢の街に救うナイトメアの野望は潰えたのだった!


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