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9ターン
唐空 呑(とうから どん)
バスから降りた僕は、グルメ雑誌を見ながら目的の店へ向かっていた。
邪魔さえ入らなければ10分もかからずにつけそうだ。
そう思った瞬間
「!」
嫌な気配を感じ、僕は雑誌を閉じて振り返った。
振り返った先には誰もいない。気のせいかそれとも虫の知らせか
少しだけ僕は怖くなり、あの忌々しい本を取り出し、胸ポケットにしまった。
出来れば能力は使いたくは無いが、そんな贅沢を言えるほど、この街は安全ではない
「…こんなことなら予約しとけばよかった。」
僕はそうぼやき、少し駆け足で店に向かった。
暫くして、あと曲がり角を二つほど曲がれば店に到着するところまで来たとき、僕は足を止めた。
あの角の先でどうやらトラブルが起こっているようだ。
男達の怒声と同い年ぐらいの女の子の声が聞こえる。
僕は恐る恐る角から現場を覗き見た。
獣のような爪を生やした男達に相対するは、ちょっと時代錯誤をした格好の女の子
「…うわぁ関わりたくないなぁ」
正直な感想が口から漏れた。
勝てる要素が無いとかそういうのじゃなく、ただ単に時間が惜しいだけだ。
ああいうのは、蚊帳の外にほっぽって、ちょっと遠回りすればいい話
急がば回れ、まさしくそれだ。
ということで、今目の前にしている喧嘩をスルーする為に僕は少し遠回りをしようと視線を前に向けた
「へぁ?」
一瞬視界に入ってきたものに対応しきれず、頭が真っ白になった。
落ち着かせようと頭を振り、もう一度、それを見た。
それは、とんでもなくダサイTシャツを着た、いかにも不審人物っぽいグラサンだった。
そして、ソイツは今こちらに向かってきている真っ最中であること
僕は先ほど感じた嫌な気配のことを思い出してしまい、そのグラサンが
ただ通り過ぎて終わるような人物には見えなかった。
ここまで来たのに逃げたくはない。進むならば前か右か
【Link:姫郡 久実(ひめごおり くみ)3ターン】
「そこをどけ、邪魔だ」
僕が選んだのは右、1:3の喧嘩に乱入すること
女の子の身を案じた訳じゃない。
早急にチンピラ三人を片付け、追ってきたグラサンを2:1の形で
もしくは、女の子とやりあっている隙に、僕だけ店に行く形に持っていくためにあえてこっちを選んだ。
僕はすぐさま能力を発動し、ヤギをイメージしたデザインの金属製のグローブを具現化し装着した。
「なんだとてめぇ!」
鋭い爪で攻撃してきたチンピラの攻撃をかわし、腹に一発叩き込む
だが
「なかなかいいパンチじゃねぇか、だが全然威力がねぇな」
チンピラの素振りを見る限り、あんまり効いてないみたいだ。
まぁそりゃそうだ。一発目だもの
『一匹目のがらがらどんは言いました』
「そうか?なら一つ言っておく、次はもっと大きいのが来るよ」
僕の能力は二発目以降がその本領を発揮する。
「ハッタリかましてんじゃねぇよ」
どうやら挑発してしまったらしい、さっきよりも動きが荒々しくなっているがその分動きが荒い
「だから宣言したろ?次はおおきいって」
二発目を叩き込んだ瞬間、チンピラの動きは止まり、顔を歪めているが
時間さえ与えれば、また襲ってきそうだ。
『二匹目のがらがらどんは言いました』
「残念なお知らせだ。次のはもっと大きいぞ」
「うぁ…やめ…やめ…こうさ」
悪いが止める気は更々無い!
『三匹目のがらがらどんはトロルを谷へ突き落としました』
チンピラの顔面に三発目を叩き込んだ瞬間、車に撥ねとばされたかのようにぶっ飛び沈んだ。
【逃げるように姫郡の喧嘩に乱入、一人をぶっ飛ばす】
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