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61ターン
佐川 琴里 (さがわ ことり)
【Link:姫郡 久実 58ターン】
さすが、久実の動きは流れる水のように無駄がない。
あんたはどこのストリートファイターだ!と突っ込みたくなるほどの美しい体さばきである。
あの関節技ヤバい。まじヤバい。とひやひや観戦していたところ。
「お琴、パス!」
いきなり自分の名前を呼ばれてギョっとなる。
なんと、少女の胸から抜き取られた本が鋭い弧を描いてこちらへぶっ飛んできた。
「え?ええーっ!」
琴里は両手を上に伸ばし(イメージは真剣白刃取)奇跡のタイミングで本をキャッチする。
クライマックスはたぶんここだった。
ぱたん。軽い埃を立てて、女の子は畳に倒れふした。
本を閉じた時の音にちょっと似ているな、と琴里は思った。
後始末。
【Link:詩乃守 優 60ターン】
>「……ん、ごめんなさい」
「許しません。」
少し複雑な心境で、琴里はそうつっぱねた。
「・・・ここで簡単に許したら、『先生の命は軽いです』って言ってるようなもんじゃないか。」
詩乃守医師は無気力に見えるが、実は、自分のしたいことは優先するし、思ったことをそのままいう、ある意味芯が一本通った人間だ。
彼女の自己認識を変えることは難しいだろうが、やはり一言言わなければ気がすまなかった。
>……一方的に暴力的な言葉で人を押し潰す事しか考えてないような言い方、反吐が出ますよ」
口の立つ唐空青年が詩乃守医師に反論する前に、琴里は慌てて口を挟む。
「ね!ひとまず今日はもう暗いし帰ったほうが良いんじゃないかな!
それと、この女の子をここに一人ぼっちにさせる訳にもいかないし、誰かあたし達の施設まで負ぶってくれる人いない?!」
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