トップスレターン

30ターン

姫郡 久実(ひめごおり くみ)


【Link:大河原万次郎 26ターン】

何だか、お菓子…もとい、おかしなことになってきた。
この街で一番の資産家・大河原氏だ。
『都会のネズミ』の社長からも話は聞いていたが、本人を見るのは初めて。
財界においても社交界においても、「セレブ」としては
色々と浮いている人とかで…。
上流階級のことはよく分からないけれど、彼もまた「この街」に隔離されて
いる1人には違いないだろう。
それにしても…

【Link:唐空呑 28ターン】

引きとめられ、久実は再び(店員さんに「すみません…」と頭を下げて)
腰を下ろした。
確かに…調査と言っても下準備は必要。
「それで、具体的には…」
口を挟もうとして、そのままポカーンと開いたままになる。
これだけの被害が出ていることも驚きだが、僅かな時間でそれらを
収集できる情報網…。
(この人、何者なんだろう…!?)
何かがざわつく。風に葉が揺れるみたいに。
そう言えば。
──先刻、笑顔で立ち上がった瞬間によぎった違和感を思い出す

【Link:佐川 琴里 27ターン】

「こ〜〜〜と〜〜〜り〜〜〜!?」
ゴゴゴゴゴゴゴ。小学生の背後に怒りのオーラを放つ黒い影。

全く、シリアスに熟考する間もありゃしない。
「何してんのこんなところで!早く帰りなさいって…あ、こ、こんばんは」
『ネバーランド』の店長さんも一緒だと気づき、慌ててぺこりと一礼。
クリスマスに雛まつり、こどもの日に七夕…街の子ども会でも何かと
施設ぐるみ、お世話になっている玩具屋さんだ。
「あの、この子がまた何かご迷惑を…?」

ちなみにこの店長=橘川さん、何の『本』持ちかは…
前に聞いてみたけれど笑って教えてくれなかった。
なにぶんプライベート、かつ人によってはデリケートな話題なので、
(サンタクロースとか福の神とか、そんな感じかな?)
そう思うことにして、それ以後は特に話にも挙がっていない。

【Link:詩乃守 優 29ターン】

じたばたする琴里を背後から押さえ込みながら、ふと、連れの女性と
目が合う。
「あ…」
あのときの。
「あ、あの…その節はお世話になりました…えっと、
覚えていらっしゃいますか?
うちの施設の子が、墜ちて怪我をしたときに応急手当してくださって…」


「落ちて」ではなく「墜ちて」。空を飛ぶ能力があるのはいいのだが、
毎回墜落やら不時着やら、まともに着陸できた試しがない少年。
その子の持ち本は…いや、それはまた別のお話。
改めて、施設に招き入れてお礼を…と思っていたら、いつのまにか
居なくなってしまっていたその女性が、目の前にいる。
「琴里、あんた…この先生…と知り合いだったの?」

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